遂に実装されたAMDのFSR3(FidelityFX Super Resolution)ですが対応タイトルは記事執筆時点では2つのみ。
しかしAMDからは更により多くのゲームでそれに準ずる機能であるFSR 3 AMD Fluid Motion Framesが体験できるプレビュードライバ、『Software: Adrenalin Edition Technical Preview Driver for AMD Fluid Motion Frames Version 23.30.01.02』が公開されています。
このドライバはRadeon RX 7000シリーズでのみ使用できるとの事なので、せっかく持っているのだから試してみる事にしました。
※対応GPUにRadeon RX 6000シリーズも追加されました。
もくじ
AMD Fluid Motion Frames
旧Fluid Motionについて
AMD Fluid Motionは、AMDの映像処理技術の1つであり、ビデオ再生時にスムーズな動きを提供するために設計されました。通常、映画やテレビ番組などのビデオは、一定のフレームレートで撮影されており、そのフレームレートと再生デバイスのディスプレイのリフレッシュレートが異なる場合、ビデオ再生中にムラやカクつきが生じることがあります。AMD Fluid Motionは、この問題に対処するために開発された技術で、次のような機能を提供します:
フレーム補間: AMD Fluid Motionは、ビデオのフレーム間を補間し、新しい中間フレームを生成します。これにより、ビデオがよりスムーズに再生され、動きが自然に見えます。
モーションコンペンセーション: この技術は、動きの速さや方向を検出し、ビデオフレームの中で適切に変換します。これにより、高速で動くオブジェクトがぼやけず、よりクリアな映像が得られます。
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新AMD Fluid Motion Framesはゲーム用
旧版は早い話がテレビの倍速補完のように動画をぬるぬるにする機能でしたが、新しいものは(今のところ)ゲーム専用で、FSRやGeForce RTX用のDLSS(Deep Learning Super Sampling)のようにフレーム補完をしてFPSを倍増させるものになっています。
23.30.01.02ドライバ
プレビュードライバ『Software: Adrenalin Edition Technical Preview Driver for AMD Fluid Motion Frames Version 23.30.01.02』は下記URLにアクセス、
Driverダウンロードへ
スクロールして中ごろにある下記画像の赤い四角で囲んだ部分をクリックすればダウンロードできます。
繰り返しますがこのドライバはRadeon RX 7000または6000シリーズでのみ使用できます。
現在は正式リリース済み
記事執筆時点ではプレビュードライバのみの対応でしたが、現在では正式リリース済みなので普通に公式サイトからドライバをダウンロードすればAFMFを使えるようになっています。
フレームはMSI Afterburnerなどで計測できない
上記ドライバのダウンロードページにも(英語で)書いてありますが、ゲームエンジンの外部でフレームを生成する技術なので、ゲーム内のベンチマーク機能やMSI AfterburnerなどでFPSを計測しても補完される前のネイティブなFPSが表示されてしまいます。
なのでFPSの計測にはRadeonドライバの機能を使う必要があります。
検証
スペック
今回は上記理由から平均FPSが計測できていないのでざっくり検証にはなりますが、一応PCスペックはコチラ。
CPU | AMD Ryzen7 5800X3D |
マザーボード | MSI MAG B550 TOMAHAWK |
メモリ | PC4-25600 DDR4-3200 32GB×2 |
CPUクーラー | DeepCool AK620 |
GPU | ASUS TUF-RX7900XTX |
電源 | Deepcool 1000W |
OS | Windows11 Pro |
Cyberpunk 2077
サイバーパンクでレイトレーシングウルトラプリセット、解像度を4Kにしてベンチマークを回してみました。
ゲーム内で計測されたFPSは57と表示されていますが、同じタイミングのRadeonドライバで計測されたFPSは115と表示されています。
4KレイトレONとなると7900XTXでも60FPSを割ってしまうので本来は苦しいのですが、これならばプレイアブルなFPSを確保できていると言えるかもしれません。
Forspoken
フォースポークンを4K最高設定、FSRなどはオフで適当なセーブからロード。
FSR3が実装済みのタイトルではありますがあえてそちらを切っての計測になります。
ゲーム内に表示されたMSI Afterburnerのオーバーレイでは45FPSになっていますが、同じタイミングのRadeonドライバで計測されたFPSは89と表示されています。
Starfield
スターフィールドを4K最高設定、FSR2はオフにしてニューアトランティスを走ってみました。
ゲーム内に表示されたMSI Afterburnerのオーバーレイでは56FPSになっていますが、同じタイミングのRadeonドライバで計測されたFPSは112と表示されています。
FPS制限があるタイトルにも
国産タイトルによく見られますが、ゲーム側にFPSを制限されている場合もあります。
ヴァルキリーエリュシオン
ヴァルキリーエリュシオンはFPSが60に制限されているタイトルですが、AMD Fluid Motion Framesを適用すればゲーム側の制限とは無関係に最大120FPSまで伸ばす事ができます。
60FPSでは物足りないと感じる目の肥えた方にとって便利な機能と言えるかもしれません。
組み合わせて使っても良い?
重量級タイトルを4Kで動かすにあたってはハイエンドGPUをもってしても60FPSを割ってしまい厳しくなる事もありますが、元々がFSRに対応したタイトルであればゲーム内オプションのFSR設定と、AMD Fluid Motion Framesを併用する事も可能です。
併用すれば当然ながら複合的な画質の劣化も懸念されますが、どちらか一方の適用では満足なFPSが稼げないという場合には選択肢の1つとしては十分アリだと感じました。
ホグワーツレガシー
例えばホグワーツレガシーは4Kのウルトラ設定(レイトレON)にすると今回のPC環境ではFPSが30を下回ってしまいますが、かといってFSRをパフォーマンスなど強めにかけるとどうしても画面がぼやけていきます。
そこでFSRはクオリティなど控え目に設定しつつAMD Fluid Motion Framesを適用すれば、動きの少ないシーンではぼやけを最小限にしつつFPS自体は60を安定的に上回らせる事も可能でした。
AMD Fluid Motion Framesを併用すればこんな感じに。
基本は2倍、激しく動くと落ち込む事も
FPSは基本的に2倍になるようですが、例えばサイバーパンクでその場でカメラを回転させるなど意図的に(人間がまともに知覚できないほど)激しく景色が変わる状況を作るとゲーム内のFPSとRadeonドライバで計測されたFPSがほぼ同じに表示されていました。
描画が極端に切り替わる場面が連続すると上手く生成できないのかもしれません。
まとめ:今後に大いに期待
というわけで高解像度でもフレームが倍増できるAMD Fluid Motion FramesはFPSが計測しにくいという欠点と、激しい動きでフレームが落ちる(?)という気になる部分はあるもののかなりの効果が確認できました。
まだプレビュードライバとして出たばかりの技術なので本格実装が待たれるところですが、Radeon組としては今後にも大いに期待できそうです。
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