PCゲーマーが所有するPC。時間が経過して性能的に古くなってきた時に買い替え以外の選択肢として真っ先に浮かぶのはグラボ交換でしょう。
CPUやマザーボードごとの交換と違って敷居が低い事もあり、自作経験のない方でも一度は考えた事があるのではないでしょうか。
というわけでゲーミングPCを買い替える予算でグラボに全振りしたら幸せになれるのか?せっかくなので試してみる事にしました。
もくじ
ASUS TUF-RX7900XTX-O24G-GAMING
ASUS製OCモデルの7900XTXです。
現在のリファレンスモデルは下位モデルである7900XTのOCモデルに価格面で近づいてきていますが、
XTXのリファレンスは不良率最大11%というニュースもあるため購入はギャンブルになってきてしまいます。
(あくまでXTXリファレンスのみの問題なのでカスタムモデルやXTリファレンスに関しては問題無いようです。)
そしてこのモデルの価格はそこそこのBTOゲーミングPCが買えてしまうお値段でもあります。
つまりPCごと買い替えるレベルの金額をグラボのみに突っ込んだらいい感じになれるのか?というのが今回の焦点になります。
現環境
すっかり古くなってしまった私のPC環境は以下。
CPU | intel i-7 6700K |
マザーボード | MSI Z170A GAMING M5 |
メモリ | PC4-25600 DDR4-3200(2666動作)32GB×2 |
CPUクーラー | ENERMAX ETS-T40F-BK |
GPU | GeForce 1080 Founders Edition |
電源 | Corsair 1200W |
OS | Windows10 64bit |
長年頑張ってくれていたGTX1080無印ですが流石に最近のゲームを起動するとなかなかにしんどいです。フルHD解像度でも60fpsを維持できないものが増えてきてしまいました。
ここからグラボだけ交換してどれだけ伸びるかを計ってみたいと思います。
差し替える新しいグラボは前述の通りRADEON RX 7900 XTX。
記事執筆時点ではAMDの最新最強GPUになります。
ただしPCI-ExpressがGen3なので帯域が原因でのスコアの落ち込みも予想されます。
ちなみに私事ではありますが今回初めてNvidiaから寝返った形になります。・・・げる。
ベンチマーク【GTX1080 vs RX7900XTX】
Time Spy
まずは3DmarkよりTime Spyからの計測。
6694→14325(総合スコア)
7190→22163(GPUスコア)
CPUとGPUのスコアを切り分けて計ってくれる優秀なベンチマークなのでGPUの強化具合を直球で示してくれます。
CPUスコアはほぼ誤差範囲で変化はなし(当然といえば当然)ですが、グラフィックスコアは3倍に跳ね上がっています。 すごい。
Final Fantasy XIV
FF14ベンチからフルHDプリセット最高設定での比較です。
15782→19000
最近のゲーミングPCだと2万超えが普通のようですが、このベンチマークはCPUの違いも出易いので伸びてはいるものの2万には届かないという結果に。
とはいえ元の環境でも60fpsで遊ぶのに十分だったので実際にこのゲームを遊ぶ分にはどちらにせよ問題は無いと思います。
RX7900XTX:4K
私は4Kモニターを所有していないのでGTX1080では4Kを試す事が出来なかったのですが、RADEON側のドライバーで仮想超高解像度を有効にすると4K計測が簡単に出来たのでオマケで掲載。
GPUパワーが十分なのでフルHD比でのスコアの落ち込みが少なく4Kでも評価は「非常に快適」です。このゲームを4Kで遊んでいる方がどのくらい居るかわかりませんが、このスコアなら4Kでも十分なFPSを維持して遊ぶことが出来そうです。
Final Fantasy XV
別名オーライベンチの異名をとるFF15ベンチマークです。
プリセット高品質でフルHDと4Kをそれぞれ計測しました。
(このベンチマークはモニターが4Kでなくとも4Kの計測ができます)
8699→12284(フルHD)
3540→10660(4K)
GTX1080ではフルHDで評価「快適」、4Kでは大きくスコアを落として「普通」になってしまいますが、7900XTXにする事でフルHDでは「非常に快適」、4Kでもスコア5桁を維持して「とても快適」になっています。
やはりGPUの大幅強化で4Kにしてもスコアが落ちにくいという特徴が見て取れます。評価は最高ではないものの4Kでのプレイも全然現実的な数字と言えるのではないでしょうか。
BLUE PROTOCOL
最近公開されたブループロトコルのベンチマークです。
解像度は画像では2560×1080になっていますが、描画はフルHDです。
12200→20868
元々の環境でも「極めて快適」がとれているのであまり参考にならないかもしれませんが、それでもスコアは十分伸びていて2万超えの大台(?)に乗せる事ができています。
Forza Horizon 5
レースゲームからはFH5。ゲーム内ベンチマーク機能を使って検証します。
解像度はウルトラワイドで遊びたい!って事で2560×1080のプリセット・エクストリーム設定です。
52→111(FPS)
結果はFPSが倍以上になりました。
CPU負荷が低くGPU依存度が高いという事でしょう。これなら設定全部最高にしても問題なく楽しめそうです。
Cyberpunk 2077
激重ゲームで有名なサイバーパンクのゲーム内で実行可能なベンチマークです。
こちらはプリセット・ウルトラからレイトレーシングをオフにしたちょっとだけカスタム設定で計測します。DLSSやFSRはもちろんオフです。
2992→7086(トータルスコア)
46.11→110.29(平均FPS)
描画負荷が最大級だけあってグラボ”だけ”超強化のメリットが如実に表れています。最初に触れた通りグラボだけにゲーミングPC並の予算を投じているわけですが、同予算で手に入るBTOゲーミングPCのGPUといえば現在でいうとせいぜい3060Tiまででしょう。しかし3060Tiでは(CPUが最新であっても)DLSS等抜きでこの数字は決して出ないと思われるので、描画負荷が高いゲーム程グラボだけ交換のメリットが出易いと言えるのではないでしょうか。
RX7900XTX:4K
こちらもFF14同様RADEONの仮想超高解像度機能で4Kでのベンチマークを試す事ができました。
GTX1080での計測は出来ていませんが恐らく紙芝居状態でしょう。
4Kにおいても平均60FPSを超えているため十分プレイ可能な数字が出ていると言って良いのではないでしょうか。フルHDでもそうでしたがミドルクラスのGPUでは太刀打ちできない数値だと思います。
まとめ:描画負荷が高い程有利、ただし足回りに懸念も
というわけで「古いPCのグラボだけ換えてみる」作戦、いかがだったでしょうか。
やはり傾向としては全体的に解像度が高いほど、そして描画負荷が高いタイトルほど有利に傾くのではないでしょうか。
ただしCPUの性能に変化が無い為、L3キャッシュの貧弱さ由来(?)の描画のモタつき、カクつきは解決しない事が予想されます。
今回はi7 6700Kでの実験になりましたがこれより世代が古いとその傾向はより顕著になるでしょう。
(逆に言えばここが例えばintel第8世代や9世代など比較的新しいものであればあるほどそちらへの懸念は小さいものになっていきます)
それと当然ですがグラボ以外そのままなのでPC自体の老朽化問題にも目を向ける必要があるでしょう。
そしてもう1つの注意点としては電源です。今回使用したOCモデルの7900XTXは850W以上の電源が推奨されているので、もし不足している場合は電源も交換する必要が出てきてしまいます。
以上の点を踏まえてそれでも現在使用中のPCの延命・パワーアップに興味がある方は、普段は高嶺の花として見送るだけの高級グラボを手にする機会と考えて、購入を検討してみるのも良いかもしれませんね。
もちろん、上手く行くかは環境にも依るため自己責任にはなってしまいますが。
この記事ではRADEONのRX7900XTXを使用した実験になりましたが、1ランク下の7900XTや、GeForceで言えばRTX4080や4070Tiでも(私のPC環境に似た方は)かなり良い感じの結果が得られるのではないかと思います。
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