PCゲームには21:9などのウルトラワイドモニターに対応したものがあります。
ウルトラワイドモニターを用意すれば横方向に広がった分だけゲーム内の視野が確保できるため臨場感を増したり戦略上有利になったりとメリットも大きいですが、引き換えに非対応ゲームや非対応動画を視聴する際には両端がカットされた残念な状態を強いられるというデメリットもあります。
どうしてもそのデメリット部分が気になってウルトラワイドモニターの導入に踏み切れないという方もおられるでしょう。
しかし一般的なアスペクト比16:9のモニターでも解像度を調整する事で疑似的にウルトラワイド化する事は可能!
というわけでここではその方法を覚書も兼ねていくつか挙げてみる事にします。
もくじ
大は小を兼ねる。解像度もモニターサイズも
通常の比率(16:9)のモニターでウルトラワイドを表現するという事は当然ながら持ち前の表示領域の何割かを切り捨てる事になります。シネスコサイズの映画を見ている時に上下が黒く切り取られる状態を思い出せばわかりやすいでしょう。
なので切り捨ててなおある程度の解像度、画面サイズを保持するためにはより高解像度でより大きなモニターを使う事が望ましくなります。
個人的には解像度はWQHD以上、モニターサイズは32インチ以上を推したいところですが、例えば24インチのフルHDモニターでも疑似ウルトラワイド化は可能です。
各解像度における21:9と32:9の数値
フルHD、WQHD、4Kのモニターをそれぞれ概ね21:9と32:9に変換した値は下記の表の通りです。
表示領域は狭まりますが解像度的な負担も軽くなるので描画負荷が下がるというメリットもあります。
21:9 | 32:9 | |
1920×1080(フルHD) | 1920×810 | 1920×540 |
2560×1440(WQHD) | 2560×1080 | 2560×720 |
3840×2160(4K) | 3840×1645 | 3840×1080 |
ウルトラワイド時のモニターサイズ
そして疑似ウルトラワイド化した時にモニターサイズが実質何インチぐらいになるかを表したものが下の表になります。
表示領域、つまり映像の面積としては16:9のままが100%としたときに
21:9が76.2%、
32:9が50.0%(丁度半分)となります。
24インチ | 27インチ | 32インチ | 43インチ | 50インチ | |
21:9 | 22.8 | 25.6 | 30.3 | 40.8 | 47.4 |
32:9 | 21.7 | 24.4 | 29.0 | 38.9 | 45.3 |
個人的な認識ですが21:9モニターは小ぶりなものが29インチ、標準サイズが34インチ、大型で40インチという感じなので
32インチモニターであれば21:9の29インチモニターとほぼ同等のサイズ感になれるという感じです。
29インチのウルトラワイドモニターはパソコン量販店でも展示されていたりするので興味がある方はサイズ感を確かめに行くのも良いかもしれません。
Borderless Gamingを使う
ウィンドウモードを仮想フルスクリーン化できるツールBorderless Gamingを使う方法です。
仮想フルスクリーンが選べないゲームを仮想化するのが一般的な使い方ですが、過去にマルチモニターを使った3画面プレイを実現するツールとしても当ブログ内で紹介済みです。
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『nVidia Surround』を超える?『Borderless Gaming』によるマルチモニターゲーミング
続きを見る
上手く動作しないタイトルもありますが一度設定してしまえばゲーム起動時に一緒に起動しておく事でお手軽に任意の解像度に当てはめる事ができます。
やり方
ウルトラワイド化したいゲームを起動します。ここではSTAR WARS ジェダイ:フォールン・オーダーを例にやってみます。
Borderless Gamingを起動してアプリケーションからゲーム名を選びお気に入り登録します。
登録されたゲームを右クリックしてサイズを変更しないを選択します。
もう一度右クリックからサイズを指定するを選択。
スクリーン領域の指定方法を尋ねられます。はい(Y)を選択するとマウスで領域を覆う方法をとります。いいえ(N)を選択すると数値を入力して指定する方法になります。ここではいいえ(Y)を選択します。
すると領域の始点Xを尋ねられます。ここでの「0」とはプライマリモニタの一番左端を指します。
なのでここは0でOKです。
次に始点Yを尋ねられます。ここを0にすると画面上部にウルトラワイド化したゲームが映され画面下部が余った状態になります。
(面倒だったら0と入力し読み飛ばしてください)
画面下部にゲームを映したい場合、例えば4Kモニターならば縦の解像度は2160、21:9でゲームを表示させるならばそこから1645を引く事になり515となります。
映画のように画面中央に映したい場合には515を2で割り257か258あたりにすれば良いという事になります。
次に横の解像度を尋ねられます。使っているモニターの横の解像度を入力しましょう。
例では4Kモニターとして3840と入力しています。
最後に縦の解像度を尋ねられます。
例では4Kで21:9にする場合の1645にしています。
念のためもう一度解像度表を貼っておきます。
21:9 | 32:9 | |
1920×1080(フルHD) | 1920×810 | 1920×540 |
2560×1440(WQHD) | 2560×1080 | 2560×720 |
3840×2160(4K) | 3840×1645 | 3840×1080 |
ゲーム側のコンフィグでウィンドウモードを選びましょう。
Borderless Gamingのツールタブからアプリケーション一覧を再読み込みするを選ぶとゲーム画面が指定した位置とサイズに切り替わります。
設定は以上になります。
上手くいけば疑似ウルトラワイドでお手軽に遊べるようになります。
上記画像ではわかりやすくするためにWindows11のデフォルト壁紙にしてありますが、実際に遊ぶ際には暗めの背景を選んでおくと良い感じになると思います。
ゲーム側で対応しているケース
タイトルによってはゲーム内コンフィグでウルトラワイドサイズを選択できるものもあり、この場合は非常に話が早いです。
私も全てを把握している訳ではありませんがいくつかご紹介。
Final Fantasy XIV
FF14はウルトラワイド化で視野を広げると戦略上優位に立てる事で有名です。
もしかしたらへたなFPSよりもウルトラワイドモニターの売り上げに貢献しているかもしれません。
ウィンドウモードを選ぶと「解像度のカスタム設定」でアスペクト比を問わずピクセル単位で数値を指定できます。
iniファイル弄りもせずゲーム内設定でここまでできるものは珍しいと思います。
ウィンドウモードにするだけだと枠が邪魔ですが前述のBorderless Gamingを組み合わせるとボーダーレスに出来ます。
FF14の解像度のカスタム設定とBorderless Gamingの解像度の設定を一致させておきましょう。
Monster Hunter Rise
モンハンライズもゲーム内オプションでアスペクト比21:9が選択できます。
解像度は指定の必要がなく16:9解像度にそのまま21:9の映像を当てはめてくれるようです。
Horizon Forbidden West
Horizon Forbidden Westでは21:9だけでなく32:9もゲーム内コンフィグで選択できます。
広い視野を確保したい場合にはこちらを使ってくれという事なのでしょう。
GPUのカスタム解像度設定を使う
デスクトップの解像度そのものをウルトラワイド化してしまう方法です。
確実性は高いですが、ゲーム起動時に毎回切り替えないといけない煩わしさはあります。
また使用しているモニターの機種によってはカスタム解像度に対応しておらず、この方法自体が実行できない事もあります。
GeForceの場合
・デスクトップで右クリックして「NVIDIAコントロールパネル」を開く
・ディスプレイ>解像度の変更からカスタマイズをクリック
・カスタム解像度の作成をクリック
・水平ピクセルと垂直ラインにそれぞれ任意の解像度の値を入力する
Radeonの場合
・デスクトップで右クリックして「AMD Software: Adrenalin Edition」を開く
・右上の歯車アイコンをクリックしてディスプレイタブを開く
・カスタム解像度の横にある新規作成+をクリック
・任意の解像度の値を入力する
まとめ:通常のモニターでもウルトラワイドゲーミングは可能
というわけで一般的なアスペクト比16:9のモニターで疑似ウルトラワイド化する方法をいくつかご紹介してきました。
ウルトラワイド対応タイトルにおける優位性は理解していてもウルトラワイドモニターを実際に購入するのはそれなりに勇気が要ると思います。
「普段は16:9でいいけど一部のタイトルだけやってみたい」という方にこそおすすめできますし、何より上記内容を試すのに費用はかかりません。
興味がある方はウルトラワイドモニターを購入する前に試してみるのも良いかもしれません。