複数のモニターを1つのモニターに見立てる事で疑似的に1枚の高解像度モニターを作り出せるRadeon系ビデオカードの機能『AMD Eyefinity』(以下:Eyefinity)。
ライバルnVidia社にも同じような機能『nVidia Surround』がありますが比較して使い勝手や機能性はどうなのか?設定方法をおさらいしつつ問題点も挙げてみることにしました。
もくじ
有効化前の注意点
繋いだモニターは強制的に連結されてしまう
Eyefinityは設定方法はとてもシンプルでわかりやすいのですが、その裏返しとして細かい設定の変更がほぼ効きません。
その中でも問題なのが接続中のモニターはすべて強制的に一体化されてしまうという点です。
例えば下の画像のように3枚のモニターを横に並べて上にサブモニターを1枚配置しているという場合には2・1・4番だけでなく、上のモニター(3番)まで一緒に連結されてしまいます。
たとえモニター配置が横並びだったとしても一体化するモニターは奇数にしないと画面の中央にモニターの継ぎ目が来てしまうことになるのでゲームに向いているとは言えませんね。
物理的に切り離すしかない仕様
しかもWindows側の設定でモニターを無効化していてもEyefinityを有効化すると強制的に有効化されてやはり同じ結果になってしまいます。
結局この問題を回避するためには4枚目のモニター接続を物理的に切り離すしかありませんでした。
「このディスプレイの接続を切断する」で無効化しても強制的に”起こされて”しまう。
nVidia Surroundの同機能では連結する枚数と、どのモニターを連結するかを設定できていたのでこの点でEyefinityは大きく見劣りします。
AMD Eyefinityを有効にする
クイックセットアップをONするだけ
複数のモニターを接続した状態でタスクバー内に常駐された「AMD Software Adrenalin Edition」をクリックしてメニューを開きます。
右上にある歯車のアイコンをクリックしてからディスプレイのタブをクリック。
その中の一番下にEyefinityという項目があるので
クイック セットアップと書かれた部分をクリックします。
N社のようなアプリを閉じる作業はなし
クリックすれば即座に複数のモニターが一体化されます。
この段階でnVidia Surroundでは関係性がよくわからない実行中のプログラムを閉じるように促されるという面倒な作業が発生しません。
この点はEyefinityの方がはるかにお手軽に切り替えができると言えるでしょう。
(N社の仕様が意味不明なだけとも言えますが)
こちらはN社の問題のあれ。この工程がとても面倒。
あとはモニターの並び順を設定するのみ
一体化されたモニターの物理的な並び順とソフト上の並び順が揃っているか、マウスカーソルを移動させて確認してみましょう。
もし順番が意図したものと違う場合はEyefinity有効化中にディスプレイの配置という項目が現れるので、ディスプレイの再配置をクリックしましょう。
クリックするとモニターが1枚ずつ青一色で表示されるようになる(その他のモニターは黒で表示される)ので、今青いモニターはどの位置に該当するかを選べばOKです。
例えば左のモニターが青くなったら左の四角をクリックすればよい。
戻すときはセットアップを破棄
Eyefinity有効化状態(画面一体化)から元に戻したい場合はセットアップを破棄をクリックすれば元の状態に戻すことができます。
nVidia Surroundでは戻す時にも一度シングルモニター状態になり、無効になったモニターの有効化と並べ替えをやり直さなければならなかったのでここもEyefinityの方が遥かにお手軽です。
シングルモニターに戻されるnVidia Surround。面倒。
AMD Eyefinityを使ってできる事
設定が済んでしまえば環境としてはnVidia Surroundとほぼ同じと言って良い状態になるので一体化して動かせるゲームに関しては臨場感がかなりアップします。
ただし当然ながら1画面よりも解像度が倍増して描画負荷も高くなるのでそれなりのマシンスペックが要求されます。
フルHD3枚ならばもちろん3Kということになりますので4Kよりは負荷は低いでしょうが、4Kが視野に入っているぐらいのゲーミングPCが望ましいという事になるでしょう。
この機能を使わなくともBorderless Gamingというアプリを使えばお手軽かつ解像度の自由が利くマルチモニターゲーミングが実現できるのですが、上の画像にあるForza Horizon5のようにBorderless Gamingでは上手くマルチモニター化できない物もあり、対応できるゲームタイトルが少ないという欠点があります。
お手軽さのBorderless Gaming、対応ゲームの広さのEyefinity(nVidia Surround)といった感じです。
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『nVidia Surround』を超える?『Borderless Gaming』によるマルチモニターゲーミング
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まとめ:切り替えはお手軽だが融通は利かない
というわけでAMD EyefinityはnVidia Surroundよりも設定項目が少ないですが有効化も無効化も遥かにお手軽にできるという大きなメリットがあります。
ただしデメリットとしては有効化するモニターの数を選べず、繋いだモニターは片っ端から一体化してしまうため融通の利かなさも目立ちます。
この点は元からモニターが一体化したい枚数だけしか無い環境では気にならないかもしれませんが、4枚運用で3枚だけを一体化したい私のような環境では不便に感じるものでした。
とはいえトータルで見れば欠点を加味しても、あくまで個人的な意見ではありますがEyefinityの方が使いやすいと感じました。
ただGeforceとRadeonのどちらを使用している方でもモニターを3枚お持ちであれば、ゲームによってはマシンパワーもかなり必要にはなるものの、単一モニターや4Kゲーミングでは味わえない体験が出来ると思いますので、環境が許すならば一度は試してもらいたいものだと思います。
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